“土徳”を受けとり、自らの景色に生きる旅

“土徳”を受けとり、
自らの景色に生きる旅

2026 .10.10 Sat - 10.12 Mon

リジェネラティブツーリズム in 富山県南砺市・砺波平野

Overview

山から川、川から海へ――。
土地の記憶を辿り、生命の源流に触れる。

リジェネラティブツーリズム in  富山県南砺市・砺波平野では、庄川流域を舞台に、五箇山の山々から砺波平野へと続く風土を巡ります。日本人が育んできた自然観や生命観、そして「土徳」に触れて、この土地に暮らす人々との対話や食・文化を通して体感します。

ただ単に、歴史や文化を学ぶ旅ではありません。土地に流れる時間や、人と自然が紡いできた関係性に、自身の身体性や感性を開いていく。

生態系、土中環境、人類学、信仰、暮らしを横断しながら、これからの時代にふさわしい豊かさや美しい暮らし、そしてあなたらしい生き方を探求していく旅路です。

Field

日本三霊山の二つ、立山連峰と白山

富山県は、日本三霊山である富士山・立山・白山のうち、二つの霊山から影響を受けてきました。

3000メートル級の立山連峰や白山からは、5本もの一級河川が流れており、これらは日本でも国内及び世界に類を見ないほどの急勾配を誇ります。

冬になると日本海を通り抜ける北西の季節風が山々にぶつかり、莫大な量の雪が降り、現在でも12m近くの積雪が観測されています。そんな山々からの雪解け水は、河川となって深海1000メートルの深さまで富山湾に流れ込むことで、豊かな水を齎し、人々の営みを築いてきました。

日本最大級の散居村が広がる庄川流域

今回のプログラムの舞台は、庄川流域。岐阜県の烏帽子岳を源流に、白山からの雪解け水やさまざまな支流とも合流しながら砺波平野に流れ込み、日本最大級の散居村を築いてきました。

また、浄土真宗大谷派 瑞泉寺(井波別院)は、庄川が山深い峡谷を抜けて、砺波平野の扇状地へ移る「入口」の文化的中心に位置しています。

そのような人々の豊かな暮らしの一方で、3,000メートル級の山々から流れ出る急流は、古くから暴れ川として恐れられており、歴史的な治水技術が今に受け継がれています。

まさに自然の畏怖と恩恵を受けてきたことで、山岳信仰にみられるアニミズムを土台に、のちに浄土真宗が包含する形で人々の心の支柱となっていったのではないでしょうか。

玉利康延 文脈デザイン研究所

東京・多摩川、岐阜・長良川、鳥取・大山、富山・庄川など流域の研究開発に携わる。また、流域とともに古代から積層されてきた人間と自然の営みや、古神道・自然信仰、神話や民話といった伝承を可視化し、デザインやフィールドワークに落とし込んでいる。

Food

食事とはその土地の命をいただくこと

富山県西部は、庄川流域の豊かな水と山・里・海を結ぶ食文化が特徴です。山深い上流では山菜、五箇山豆腐、赤かぶなどが穫れ、冬の保存食として漬物や発酵食品が受け継がれてきています。

平野部では米づくりを中心に、肥沃な土壌環境で育った里芋や野菜を使った煮物、祭りや法要で振る舞われる料理が根付いています。また、深海1000メートルの富山湾では海産物も豊富で、昆布を多用する調理法や塩蔵・乾物文化も発展してきました。

1日目は、「日本文化の精神性や食という生命との向き合い方」を、懐石料理人・中尾英力による郷土料理を通じて体験していただきます。

中尾英力 懐石料理人

全国の茶人との交流を通じて茶道を独学で深め、現在は懐石料理や茶懐石の講座を全国で展開。「食事とは命をいただくこと」という哲学を軸に、日本文化の精神性や命への感謝を、料理を通して現代に伝え続けている。

「都市生活」と「砺波平野」を
菌の視点でつなげる

2日目・3日目は、お米の自然発酵をクラフトマンシップで研究開発しているウエダ家と、地元の農家さん、料理人たちとのコラボレーション。

地域のいのちを繋いできた食や生活文化に、ウエダ家の自然発酵乳酸菌をはたかせることで、食材や生態系の生命力を引き出し、都市で暮らす現代人のセンスや生活習慣にフィットした新しい食の形を提案。

砺波平野の生態系生活を五感で感じ、消費社会に生きる私たちにとって、自然と調和する次の社会へのトランジションにつなげていきます。

ウエダ家 COBO 自然発酵研究所

2002年から自然発酵を研究。お米の自然発酵乳酸菌が、素材の持つ様々な雑菌を抑制すると同時に、多様な生きものとネットワークをつくり、素材の持つ生命力を引き出すスキルを持っていることを発見。菌の視点から、都市と自然をつなぎなおすツーロを提唱。

Culture

「自力」から「他力の美」へ

「土徳」とは、土地に暮らす人々の信仰や営み、ありがたいと感謝しあう人々の心が幾世代にもわたり積み重なることで育まれる、その土地固有の精神風土です。

「他力」とは、自らの力を諦めることではありません。人は決して一人では生きられず、風土や自然、祖先、他者、そして数え切れない生命とのつながりによって生かされていることを知り、その大いなるはたらきに感謝し、自らの命を尽くす生き方です。

そこから生まれる美とは、自我を誇示する美ではなく、関係性の中で自然と立ち現れる美。「他力の美」とは、自分を超えた大きな生命の循環に身を委ねたとき、はじめて現れる、静かで力強い美しさなのです。

疎開中の版画家・棟方志功もまた、この地で「我執の濁り」が消え、大きなはたらきに身を委ねる体験を通して、内面の転換が生じ、作品世界を大きく変化させています。

Hotel

暮らしの糧をつくる泊まれる民藝館

杜人舎は、浄土真宗大谷派 善徳寺(城端別院)に隣接する泊まれる民藝館です。

民藝運動の祖・柳宗悦は、富山の「土徳」に深く惹かれ、晩年に善徳寺で啓示に打たれるように、民藝美論の集大成である『美の法門』を執筆しています。

柳の愛弟子・安川慶一が設計した研修道場を改修し、建物全体に美術館のように民藝の品々をしつらえています。民藝美に満ちた空間で、これからの美しい暮らしをともに考えていきましょう。

*お部屋は基本、同性で2-3名で一室になります。あらかじめご了承ください。

Schedule

Price

参加費には、2泊3日分の宿泊費・食費・移動費・保険料等の実費が含まれています。本プログラムの開発費・地域への還元・今後の研究活動費など、持続可能な形で運営していくために、3つの価格区分を設けています。ご所属やご状況に応じて、区分をお選びください。

Green

U30の若者や非営利・社会/環境活動に従事しており、標準価格での参加が難しい方向けに設定しています。

66,000

  • 2泊3日の宿泊費

  • 7食分の食費

  • 現地での移動費

  • プログラム費

  • 保険料

Basic

基本となる参加費です。主に個人での参加者向けに、訪れる土地の方々や自然や文化に循環していく、価格を設定しています。

99,000

  • 2泊3日の宿泊費

  • 7食分の食費

  • 現地での移動費

  • プログラム費

  • 保険料

  • ローカルパートナーの活動費

  • ナビゲーターのガイド費

Donation

ご自身の参加費に加え、ローカルパートナーや運営及び他参加者を支える、ペイ・フォワード(恩送り)が含まれています。

122,000

  • 2泊3日の宿泊費

  • 7食分の食費

  • 現地での移動費

  • プログラム費

  • 保険料

  • ローカルパートナーの活動費

  • ナビゲーターの活動費

  • 自然資本・文化資本の研究費

  • ペイ・フォワード

Local partner

太田浩史

(おおたひろし)

真宗大谷派 大福寺 住職

1955年富山県南砺市生まれ。真宗大谷派大福寺住職・日本民藝協会常任理事・となみ民藝協会会長。大谷大学文学部卒。2007年から日本民藝協会常任理事を務める。“土徳”をモットーに、地域の風土やお講を大切にした教化の必要性をうったえる。

林口砂里

(はやぐちさり)

株式会社水と匠 代表取締役

富山県高岡市生まれ。2005年、現代アート・クリエイティブ領域のプロデュースを手がけるエピファニーワークス創業。2012年、拠点を富山県高岡市に移し、伝統工芸と先端技術が出合う「工芸ハッカソン」や、地域のものづくり・まちづくり振興プロジェクトに取り組む。2019年、観光を通じた地域づくり法人「富山県西部観光社 水と匠」プロデューサーに就任。楽土庵や杜人舎といった宿泊施設の運営をはじめ、かつて富山で自己変容した版画家・棟方志功のように、他力の国で自己変容を生むようなプロジェクトを日々、計画している。

中尾英力

(なかおひでさと)

懐石・郷土料理人

富山県を拠点に活動する懐石料理人・「懐石万惣」店主。1972年世界料理オリンピックで日本人初の金メダルを受賞した父・中尾甚平氏に師事し、西洋料理を学んだ後、京都の藤本登志夫氏のもとで京懐石を修める。全国の茶人との交流を通じて茶道を独学で深め、現在は懐石料理や茶懐石の講座・ケータリングを全国で展開。「食事とは命をいただくこと」という哲学を軸に、日本文化の精神性や命への感謝を、料理を通して現代に伝え続けている。

Navigater

中山景

(なかやまけい)

KOK Inc. Founder

自らの景色に生きる
次代の光景を創る。

富山県南砺出身。5歳のころよりお寺で書道を始める。大学時に禅を用いた自己内観のプログラムに出会い独学で研究を始め、起業家・エグゼクティブ/上場企業/教育機関等のチームビルディングや組織開発に携わる。ビジネススクール(MBA)在学中に「コンパッションと経営」をテーマに、仏教思想が人・組織・経営にどのような有用性があるかを検証。2023年より、KOK株式会社を立ち上げ、新たなリーダーシップ開発やリジェネラティブツーリズムの企画運営。また、日本の原風景の保全/再生活動、自然資本/文化資本の研究活動を構想中。

玉利康延

(たまりやすのぶ)

文脈デザイン研究所 代表

我々はどこから来たのか
我々は何者か
我々はどこへ行くのか

東京都生まれ。2000年代には新しい概念を社会に実装するプロジェクトに多数携わる。文化人類学者・竹村眞一氏らと環境・社会問題に取り組み、岡山県西粟倉村では地方創生の黎明期にブランディングを手掛ける。2013年「東北食べる通信」創刊に参画し、グッドデザイン賞 [金賞] を受賞。文脈デザインの手法を確立し、文脈デザイン研究所を設立。現在は「和食人類学」をテーマに、執筆・講演・研究を行っている。今後は、日本各地に眠る風土や知恵を、次世代につなぐ物語として再編集する活動を構想中。効率化によって切断された文脈を繋ぎなおした事業やプロダクトが各地で生まれ広がり、我々がどう生きていくのかを問い直すきっかけをつくっている。

ウエダ家


COBO 自然発酵研究所

人間よりも
自然がやってくれていることを
先に重んじる研究。

2002年、横浜に住む一家庭が目に見えない野生の菌が身近にいることを知った"衝撃"からはじまった研究活動。私たちは、身近にいるウィルスや菌は人間を苦しめるだけでなく、味方にもなってくれる存在であることを認識する心の余裕を失っている。人間が自然を支配し破壊したいま、自然はウィルスを通して私たちにメッセージを送っています。私たちも動物であり自然の一部であるからと、自然は私たちに訴えているのです。自然と人をつなぐ役でもある身の回りに棲む見えない菌には、人間の感動を呼び起こす力があります。COBO Lab.自然発酵研究所は、2002年より自然の摂理に立脚した人間よりも自然がやってくれることを重んじる研究をすすめています。